天才たけしの元気が出る日記

.□ 10/25 満足はまだできてなかったかな。 □.
エンケンが死んだ。
中学の頃、黎明期ライブのカセットテープを繰り返し聞いた。
夜汽車のブルース
外は雨だよ
終わりの来る前に
雨上がりのビル街
カレーライスだけピンとこなかった。

満足できるかなというアルバムで一番好きだったのは
‘外は暑いのに’
真似したいから初めてカポを買って4カポで弾いたのだった。
「わざという」というとこにかなり痺れたのだった。

死んだと聞いて、学生時代の友達を思い出した。
地下鉄の駅へと急ぐ夏、だったっけ?
コースケ、よくエンケンの真似しあったな。
死んじゃったってよ、エンケンが。

.□ 10/17 僕の初体験物語。 □.
大人になるとドキドキすることが減っていく。
初体験することが少ないからだろう。
4歳になったばかりの歌子は毎日がドキドキの連続で目がキラキラしている。
人生のスイも甘いもそこそこ体験してしまいこの先そうはないだろうと思っていた初体験が、まさか急に自身に降りかかるとは。

健康診断は何年振りだろう?
20年、、いやもっとか?
身長体重、血圧など。
採血がちょっとつらかったがまあ想定の範囲内だ。
クライマックスは胃の検査だ。
噂に聞くバリウム。
いい話は聞かない。
けどまあ長年の経験から、みんなの噂話でだいたいのキツさは予想できる。
たぶん嫌度(イヤド)はこのくらいで耐えられる度はこのくらいで。
しかしその予想を軽く上回るとは、まさにこれが想定の範囲外だ。

まず発泡剤という粒上のものを水無しで口に入れる。
その情報は無かった。
俗に言う、聞いてないよ!だ。
皆バリウムのことを語り合う際、なぜ発泡剤には言及しないのか、全くの謎だ。
バリウムはドロっとして気持ち悪いとか、案外飲みやすいよ、とかいろんな情報を出して来るくせに、その直前に飲まされる発泡剤に触れないなんて全く意味がわからない。
情報のないもの、想定外のことが起こると人はパニックに陥る。
僕がそれだ。
発泡、というネーミングが怖い。
「ハッポウザイです」と医師から渡された時、頭の中に???が溢れた。
「はっぽう?」「発砲?!」「破裂」「爆発!」
これが終わったらアウトレイジ最終章を見に行こうと画策していたのがまずかった。
ハッポウ=チャカでドン!のインプレッションが強い。
口の中で暴発したらどうしよう。
けど躊躇している暇はない。
俺はいつだって、読売ランドでバンジージャンプをしたときだって、神津島の岩の上から飛び降りたときだって、躊躇せず飛び込んだ。
弱いところは見せたくない、見栄っ張りなのだ。
今日だって発泡剤を口の中に一気に流し込んだ。
勢いが裏目に出た。
喉の奥のスイートスポットに一粒がホールインワンしたようだ。
バフっとむせて口から発泡剤が飛び出した。
まさに発砲した。
医師は「あっあわーー」と叫びながらも僕を気遣ってくれたが、機器や床に散らばったチャカのタマを拾い集めようとジタバタする僕の頭の中は完全にパニックだ。
「大丈夫ですよ、まだあるんで」と医師はなんと発泡剤をもう一袋飲まそうとする。
そりゃそうか、ほとんどぶちまけたんだから。
しかし一度やればもう初体験ではない。
全て想定内だ。
そっと口に入れ舌の上にとどめる。
できれば最初からこうしたかった。
しかしこの先だ。
バリウムはまだ未経験だ。
緊張が走る。
それは目の前の医師にも感じられる。
こいつ次は何をしでかすんだ、という目をしてる、気がする。
躊躇してはならない。
舌の上の発泡剤だって、早く飲み込まなければ、どうなるかは知らないがダメな気がする。
バリウムの紙コップを勢いよく傾けのどに流し込んだ。

もっとドロッとしたイメージだった。
皆の話を聞くとそうだった。
しかし思ったよりもサラッと口の中に飛び込んできた。
見誤った。
勢いがありすぎて口から溢れた。
手で覆ったが後の祭り。
口から手からTシャツにまでベッタリこぼれた。
もちろんまた床にも。
医師はまたも「あっあわーー」という声とともに助けようとしてくれたがもう遅かった。
手、顔、Tシャツ、そして床にべっとりバリウムが。
ウエットティッシュをもらい拭うがなかなかとれないもんだ。
バリウムがべったり付いたTシャツは脱ぐように言われた。
映ってしまうからだ。
病院服に着替え、また医師から発泡剤とバリウムを手渡される。
また最初からか。
3度目の発泡剤、2度目のバリウム。
たしかにどちらもぶちまけたが、胃のほうにも少なからず入っている気がする。
しかし医師は有無を言わさぬ強い態度で患者に差し出した。
患者はもはや抗うことは出来ず、手慣れた様子で二つの薬物を上手に胃へと流し込んだ。
もはや一滴も、一粒たりとも体外に漏らすこと無しに。
およそ1,8倍の発泡剤、1,5倍のバリウムを胃の中に感じた。
短時間での密度の濃い経験から、彼の神経は過去最高に研ぎすまされた。
まさに「自分の体のことは自分が一番よく分かってる」だ。
彼はゆっくりと、安定した足取りで診察台に上り、軽い深呼吸とともに大きなゲップをひとつした。

「あっ今ゲップした!!」

あーあ、また初めから?


 

--+-- >>>